ヒゲロン毛がいく!〜日本三大紬の一角を覗けば〜
witter:石井
みなさま、お久しぶりのヒゲロン毛です。
年の瀬に近づいてきましたね。
もう髪切りたい。もこみちみたいな爽やかな髪型にしたい。
と、いうわけで今回はとあるプロジェクトで
金沢工業大学さまにお呼ばれして、石川県は白山市に行ってまいりました!
この並び、ヤバすぎる・・・天竺目指します。
白山市には、
かの日本三大霊山、白山と
日本三大紬の牛首紬があります!!
*1 三大霊山は富士山・白山・立山と数えたり、比叡山・恐山・高野山と
数えることもありますね。ありがたや。
*2 紬にも諸説あります。
金沢駅から車を走らせること1時間弱。
猿を尻目に、山を入っていきます。
(一緒に天竺は目指しませんか?)
白山市は、仕立屋がいる滋賀県長浜市と同じく
1市2町5村が合併して巨大な市になりました。
走っても走っても白山市です。
その中に白峰地区があります。
そこは名霊山・白山の登山口。
今回の舞台はココになります。
今にもシシガミさま出てきそうです。
中心地は2キロほどで歩ける距離。
現在は800人ほどが暮らしています。
かつては1000人を超える人口も年々減少。
後継者不足もやはりここでも起こっています。
この地域には中学校、高校、大学がありません。
小学校も全校生徒30人ほど。
つまり、卒業したら必然的に山を降りなければなりません。
小学校があるから、卒業した子たちには
白峰が故郷として記憶に残る。
小学校すら無くなってしまったら白峰を思い出す子が
いなくなってしまうのです。
しかし!!
なんと白峰にはIターンUターンの若い衆が多くいるそう!
消防団の大会では白峰、ダントツ若いんですって。
彼らは白峰を故郷に思う、
なんとかしたいぜと思う、
そんな若い衆。
市民大学や祭り、青年団など
かなりバリバリやってるようです。
酒も強いです。
今回白峰を隅の隅まで案内してくれた山口隆さん。通称タカシさん。
「ここから見る白山麓がいいんだよね。」
そう言ってとっておきの場所に連れてってくれました。
オトコ臭くて、青臭くていいじゃない!濃厚酸素最高。
タカシさんは元白峰村役場職員。
「やっぱりさ、箱ばっかみて中身見てこなかったんだよね。」
「自分たちの持ってる財産が何か、知ろうとしなかったんだ。」
「これからはそれを考える時だよね。
そしたらこんなに色んなものあるじゃん、って気づいたよね。」
タカシさん、熱い漢、白山代表。
下山していよいよ日本三大紬の牛首紬の工房へ向かいます。
現在で残るはたった2軒。加藤機業場へ!
まずは牛首紬とはなんぞ、をカンタンにご説明します!
①着物などの白い生地です!
②素材は絹!そう、お蚕さまです!
③玉繭(双子のまゆ)をヨコ糸に、
単繭(ひとりっこのまゆ)をタテ糸に使ってます!
④フォーマルな場より、カジュアルな着こなしとして使われます!
⑤他に紬で有名なものは結城紬、大島紬など!
百聞は一見にSHIKAZU!!
と、いうことで見て見ましょう。
そう!気づきましたか!
手と足で動かしているんです。織機を。
昔はどの生地もこうやって織っていたんですね。
ここにある織機は、ダムに沈んだお家やら、
引退してしまったお家から引き取ってきたもの。
だから、それぞれの家の天井の高さに合わせているので
背がデコボコなのです。
工房にある織機は村の大工がつくった。
あの機械がいいらしい、と聞けばその地まで行って手に入れた。
自分でパーツもこしらえた。
日本三大紬の工房は手づくりだらけだった。
加藤さんの工房は、伝統を守り続けるために
今でもこの時間がかかる作り方をしています。
一度でも途切れると、もう復活はできないじゃないですか。
だからこだわりますよ、文化を守るために。
白峰にダムができた頃、
多くの工房がのれんをおろして山を下った。
残ったのは加藤さんと数社のみだった。
うちが無くなったら文化自体がなくなっちゃうんだよ。
職人魂が笑顔の奥から滲み出す。
それでも作り上げた商品が届く場所は
日に日に限られていく。
今まで世話になってきた問屋さんを裏切ることはできない。
けど、このままじゃ共倒れですよ。
だから新しいモノ、つくりたいけど精一杯です。
だからひとりでも多く広めてほしい。知ってほしい。
あぁ〜〜〜もっと喋りたかったぁ〜!
糸繰職人たちが糸を引きながら笑う。
やっぱりこうして人の手で動かす織機で
織った生地は、機械のような均一なものにはならないけど
風合いがでるらしいんです。着たらわかるんですって。
じゃあ着る機会がほしい。
みなさんの空気感に触れる機会がほしい。
それ、つくれないかなぁ。
誰か、今度一緒にいきませんか?
白山、いいところですよ。