職人文化人類学

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【広島行脚1人目】株式会社サードの代表取締役三島進さん「革が本当に好き!」

2021/8/19 職人行脚 Writer:仕立屋と職人 イシイとワタナベ

職人行脚の一番最初にお会いしたのは、広島県福山市で革製品の製造販売を行い、ショップ Leather Studio Thirdを運営する株式会社サードの代表取締役三島進さん。
福山レザーという備後絣の染色技術を用いた新しいレザーを生み出し、福山から世界へ向けて発信をしている革職人です。

私たちが考えていた職人像を一蹴するパワーを持ち、その後の「会いたい!」と思う職人像の基準がここで構築されました。
そう断言していいほど、産地の中でものづくりをすること、革を使い自分がすべきこと、100年後どうあるべきなのか、という考えを明確に持っていました。

自社ショップを「観光地にしたい!」という思いを体現すべく、ものづくりの職人とは思えない饒舌なプレゼンテーションで、サードのこと、技術のこと、革のこと、福山のことをディープに教えていただきました。

その中でお聞きしたお話全てお伝えしたのですが、一番印象敵的だったお話を今回記事にすることにします。

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「『いいもの』をつくったら世間がほっておかない!」
〜株式会社サードの代表取締役三島進さんのお話。〜

「革が好きだから、革文化を広げていく!」

私は、本当に革がめちゃくちゃ大好きなんです!とてもいい素材だと思っています。そう思うから、次の世代にサードを継いでもらいたいなとも思うし、100年後にもサードが続いて欲しいと思います。

革はマンモスがいた時代から利用されていて、今まで絶えずに使われ続けています。これまで何万年と続いてきた歴史があるのだから、これから何万年先も革があって欲しいと思う。「革は使われ続ける」と思うくらい、いい素材だと思うんです!

そのためには、「革」という文化を広めていくっていうことがすごく大事だと考えています。サードが大きくならなくてもいい、うちで技術を身につけた後うちで働かなくてもいい、世界に革屋が増えたらいいな、とそういう思いはあります。

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「均一化できない魅力を伝える!」

以前いただいたお仕事で製品を量産をする機会がありました。今の時代、製品は綺麗で均一なものが当たり前で、それを革にも求められたことがあったんです。しかし、革は動物の皮なので肩があって背中があって腰があって尻があって腹があって脇腹があって・・・同じところが一つもないから、製品の均一化は難しい。

もし均一化しようとすると化学薬品で鞣して、まるでビニル素材のような質感になってしまいます。うちでは天然鞣し加工のタンニンで鞣しをしているので皮本来の表情が残ります。タンニンで鞣した革は使っていけばいくほどいい革に育っていきます。お客さんが「10年前に買ったんだ」と言ってうちの製品を見せてくれる時があるのですが、それがめちゃくちゃかっこいい!そういう時は「革を育ててくれて、ありがとうございます!」と思います。

だから私は均一化にならないもの、均一化にならない魅力というのを伝えていきたいと思います。

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「いいものは勝手に売れる!」

よく、「いいものを作ってたら勝手に売れるっていうのは幻想だ!やっぱ売る努力が大事だよ!」なんて話を聞いたりしますが、いいものを作ったら勝手に売れると思ってます。そのため、売れないものはつくったものが「よくないんだ」と思います。「俺ええもん作ってるのになんで俺の・・・」なんていう物はいいものじゃないんだよ、と。

「いいもの」は世間がほっとかない!誰かが絶対になんとかして見つけてきます。どうにか見つけて、シェアしてくれるのです。だから、マスのもので売られているものであっても同じで、かっこいい、使いやすいといった支持される理由が必ずあるから売れていると思っています。

また、昔からあるから「いいもの」なんだという考えも違うと思います。既にあるものはどんどん淘汰されていきます。でも、そこで時代を超えて残っていくものは、素材が何にも負けないくらい「いいもの」であったり、使い手やつくり手の「好き」っていう気持ちがあるものが残っていくと信じています。

だから私は革の魅力を伝えていきたいし、技術をもっと磨いていきたいと思っています。

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株式会社サード
https://leatherstudio.jp/
広島県福山市多治米町6丁目3-17
TEL 084-971-7356 / FAX 084-971-7360

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