職人文化人類学

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職人行脚広島編!オープニング

2021/8/11 職人行脚 Writer:仕立屋と職人 イシイとワタナベ

「あれ?!髪切っちゃったんですか?!」
と、各方面で言われております石井です。別に反省してるわけでも、年貢を納めたわけでもないのですが、やはりTM(トレードマーク)は守らなければ…と痛感しています。伸ばします。

さて、職人文化人類学を旗揚げしまして、「『SHOKUNIN』という新時代の職人に共通することはなんなのか…それを知るために全国行脚に出よう!」と計画を立てていた矢先にコロナ大爆発…またまた外に出れない時期が続いていましたが、この度満を辞して、アルコール(飲むためじゃないです)と大量のマスクを持ち、対策バッチリでスタートします、職人行脚!

その一発目はものづくり大国、広島!!

今回訪れたSHOKUNIN(&DESIGNER)は…
❶福山レザー Leather Studio Third 三島進さん(広島県福山市)
❷染色 岩瀬商店 岩瀬茂揮さん(広島県福山市)
❸デザイン&活版 活版カムパネルラ 上田昇辰さん(広島県尾道市)
❹けん玉 イワタ木工 岩田和真さん(広島県廿日市市)
❺熊野筆 晃祐堂 土屋武美さん(広島県熊野町)

それぞれみなさんに伺ってきたお話しを、ひとつずつ記事にしていきます!そしてその後にまとめとして仕立屋が発見したSHOKUNINの共通点や分析を書いていきたいと思います!

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(今回お会いした方々。視点や作ってるものは違っても、哲学を持ってものづくりを突き詰め、結果として工房の周囲までも変革を起こされていました。強刺激!)

なぜ行脚をする必要があるのか?!

仕立屋は色々な職人の方とお会いし、お話しをさせていただいたり、一緒にものづくりをしたりしてきました。これまでのやり方は、ひとつの場所に長い時間をかけてみる、というスタイルでした。なぜこのスタイルだったかというと、職人でもその地の人間でもない自分たちが、職人のことやその町の文化を理解して一緒に何かを作っていくにはシンプルに「時間をかける」必要があるのでは、と思っていたからです。

しかし「職人のために」「産地のために」と、思えば思うほど、取り組めば取り組むほど、「なんか違う」という感覚が強くなっていきました。

自分たちの立ち位置は?
自分たちのやる気は?
何のためにやっているのか?
進むようで進まない。

これまでの経験から一周回って、(いつも回って大回転状態ですが)「仕立屋がやる事は自分たちのためでなければダメなんじゃないの?!」となりました。自分たちの根底にあるのは「心震える凄い職人を目の前にした時の感動と興奮」を味わいたい。という欲求なのです。

その欲求を満たすには職人に会う行脚に出るのが一番早い!もう一度外へ出てみよう。ということで、職人行脚をスタートさせました。欲望に素直であれ。と、自分たちに言い聞かせるために!

どうやって行脚先を見つけるのか?!

本当は全国隅々まで、色々なものづくりをしている職人のもとへ突撃したいのですが、体が足りない…しかもこんな怪しいやつらがきたら詐欺かと思われてしまう…というわけで、行脚先の探し方を決めてみました。でもフレックス制なので、その時々変わったりします。

職人の探し方
●伝統を過去の遺産とせず、アップデートさせている職人
●モノを作ることで日本の文化を形成している職人
●その地の文化を継承している職人

ここはすごく難しいポイントでもあったのですが、「職人」と言ってもとても幅が広いのです。広すぎて絞れない…じゃあ和菓子職人や寿司職人は?鳶や左官職人は…?となるので、まずは、自分たちのインスピレーションを掻き立てられる要素を挙げてみました。

コンタクトの取り方
●全国にいる活発なデザイナーやプロデューサーから、とにかくスゴイと思っている職人を紹介してもらう
●その職人から、さらにスゴイと思っている職人を紹介してもらう
●繋がりがないけど会ってみたい職人にはダメ元で連絡!

相手方の貴重な時間をちょうだいしてしまう…ということは常に念頭に置いています。その上で、どんな手段であれ「自分たちの真意が少しでも伝わること」が大事だと思っています。本当にご協力いただいているみなさま、ありがとうございます…。できれば、なんとかお会いしできた職人の方々と関係性を築いていきたい、一回きりの関係にしたくない、そう思いながら連絡をさせていただいています。(フラれることももちろんあると思いますが。)

何を知りたいのか?!

自分たちが感動と興奮をしているだけじゃもったいない。何にもならない。ということで、職人文化人類学として、調査と統計と分析、そして次に繋げるデザイン(とそれっぽいことを言ってみる)をしていくことが、この職人行脚です。ゆえに、ちゃんと行脚に出る前に知りたいこと、聞きたいことを整理してから職人に会いに行っています。

では、どんなことを知りたいのか、2021年夏時点でまとめます!

SHOKUNINについて、こんなことが知りたい!
●職人/ものづくりの会社として成し遂げたいことは何なのか
●変えていくべきところと、変えてはいけないところは何なのか
●今までどんなファンがついていて、これからはどんなファンをつけていきたいのか
●その産地の文化をどう捉えていて、どのようにしていきたいと思っているのか
●新時代に文化をつくっていくSHOKUNINの条件はなんなのか

もっと細かくありますが、ざっとこんなところ!

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(MAPをつくってみたが、写真が小さい上に、ハナっから入りきらないじゃないか…という。要改善。汗)

ちなみに、この記事を書いている時点で広島行脚はいったん終わっています。現時点で気づいたことは土地柄が職人のマインドに関わっているということ。(福島、滋賀、福井、広島を比較して見ています)産地としてまとまっていようが、いまいが、大きかろうが、小さかろうが、おそらく関係ない。江戸時代から続いている100年企業が多い中で、廃藩置県前の土地同士の関わり合いや、昔の境界線が現在の職人世界にも影響しているようです。たぶん、日本を職人地図として書いたら、今のような47都道府県で境界線を引く感じにはならないのではないかと思います。もっと街道とか港とか、山あいとか…「産地として…!」という取り組みが各地で見られる昨今ですが、このポイントを意識するかしないかだけでも進め方や結果、参加する人が大きく変わる気がしています。この点についてはまとめでまた書きたいと思います!

職人行脚、オープニング。トップの画像とは打って変わって、ド真面目な内容でお届けしました。見た目はこんなインディーズバンドの遠征のようですが、中身は意外に真面目なので、職人のみなさま警戒しないでください。次回は「福山レザーのスタジオを観光地にしたい!」Leather Studio Third 代表の三島進さんの会です!乞うご期待!

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