職人文化人類学

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金髪女とヒゲロン毛が行く!〜仕立屋と二万頭の蚕達と極楽浄土〜10日目11日目

2018/6/15 職人文化人類学の実践 Writer:仕立屋と職人 イシイとワタナベ

2018,06,15 ユカリ(金髪寅女)
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※記事が進むにつれ拡大蚕の写真が出てきます。
虫が苦手な方は気合いを入れてご覧ください。
あたし的には愛おしく可愛いので掲載させていただきます。
といいますか、絹がこれなんだ!という現実を是非見てください。
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あたしはこの2日間富山県高岡市へ
高岡銅器高岡漆器の視察の旅へ行ってまいりました。
この視察まじ面白かったので記事書きます。
激アツ職人集団でした。

なので、2日間蚕達と会えない日々を過ごしました。
ヒゲロン毛が行っているのがわかっていても、
気になる、気になる、気になる…

おぉ、なんということでしょう。
2日間会えなかっただけで、こんなにも大きくなるとは。
太さが!!!!プクプク感が!!!最高だ!!!

今までは湿度多めのもっちり感な感触だったのが
サラサラフワフワ弾力感増量可愛さ倍増な触り心地です。
生で見てもホワイトチョコレートのようです。

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前にも書きましたが、
同じサイズ、同じ触り心地、同じ吸着力の
コピー蚕がやっぱり欲しい。タカラ○ミーさん!!!

昨日、あたしが高岡に行っている間、
ローカルフォトのみほさんと長浜市役所の高岸さんが
蚕ハウスにいらしていたみたいで、

二人とも素敵な笑顔です。
蚕はみんなを笑顔にするのですね。
蚕はみんなの心に寄り添うのですね。
蚕は世界を救いますね。
NO LIFE, NO KAIKO!! KEEP THE FUTURE!!

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高岸さんは「蚕使い」のように見えてきます。

そしてそして、今まで行ったことのなかった桑畑に
連れて行ってもらいました。
蚕ハウスの山の向こうに桑畑があるよと
噂には聞いていたのですが…
なんとも言えない景色です。目が良くなりそうです。
側を流れる川には蛍が出るらしいです。

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↑桑を狩る三人衆。素敵。
いつも色々と蚕のことを教えてくれるおにーさま方です。

あたしも畑行きたーい!!と言って
みんなの後ろにくっついて桑を刈りに行きます。
今日は足元ぐちゃぐちゃのとこだから待ってな
と、言ってもらったのに車で後をついて行きます。
そしたら帰りにあたしの乗っていた車がスタックして
焦る、焦る、焦る。ドキドキドキ。
「四駆じゃないのか?」とみんなに言われ思い出しました。
そうです、あたしの乗ってる車は四駆です。
四駆にするのを忘れていただけという
人騒がせな金髪女です。

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蚕達のご飯タイムが終わり、今日は別のところへ行きます。

どこへ行くかと言いますと…
ここです↓

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同じ大音の中にある、繭を糸取りするために準備する場所です。
繭の中で蚕達は蛹になって蛾になって繭から出ます。
蛾になってしまったら繭は使えません。
だから、蛾になる前に繭の中の蛹の命を絶ちます。

今、大音で育てている蚕達の繭だけでは量が足りないので
生繭を200キロ分入手してきたとのこと。

生繭(蛹が生きている繭)を↓この装置を使って殺します。
嗚呼。殺しますって言葉、心が苦しい。
でも、事実、絹は蚕達の命をいただいてつくられているのです。

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この扉がついた箱の下に、小さい小窓がついていて
そこに炭を入れて燃やします。
その熱が上にのぼり、熱で蛹を殺す仕組みになっています。

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この木枠の中に生繭を敷き詰め椿の葉をおきます。
椿の葉の色の変化を見て、
繭を取り出すタイミングをみるそうです。
すごい!!ストップウォッチは椿の葉!!

↓わかりますか??
瑞々しい緑だった葉が彩度が落ちて
深いくすんだ緑になるのです。

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昔からこのやり方を続けているそうです。
時間をはかるより、この方法が一番確実!と。

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椿の葉の色が変わったら、取り出し、↑ここに広げ、
熱を冷ますために扇風機に当てます。
そして貯蔵庫に乾燥させながら保管です。

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と、いうことであたしもやってみます。

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気のせいでしょうか、
ちょいちょいあたしはへっぴり腰です。

もし、一つでも生繭が混じっていて蛾になり、
乾燥中の繭のなかを歩いてしまったら、
もう、その繭は使えないと佃さんが教えてくれました。

蚕蛾が出す唾液?体液?が繭の細い糸をくっつけてしまって
もう糸取りができなくなってしまうのです。
かなり大事な作業なのです。

昔は、この作業を朝までかかってやっていたよ、と。
終わるまで寝れなかったそうです。
蛾になってしまったら全て繭が無駄になってしまう、
という理由と、
そもそもの、繭自体の量が多かったからだそう。

年々養蚕する人も糸取りする人も減ってきている。

蚕は同じ頭数を飼っていても手間のかけ方で
最後とれる繭の量が変わる。

養蚕する人が高齢になってきて
手間をかけられなくなってきている。

様々な要因が絡み合って、
日本の絹の生産が減ってきているのです。

大音の蚕達は、みんなで愛情込めて、時間をかけて、
大事に大事に育てられているから
確実に繭の量は多くなること間違いない。

でも、その時には二万頭の蚕達の命が…
おぉぉぉぉぉぉぉぉ。
あたしは、その時どんな気持ちになるのだろう。
今はまだ、考えないようにしておきます。

私たちの生活を豊かにするために、
蚕達の命が絹になるのです。
絹を大事にしなければ、蚕達が極楽浄土へ行けません。
行けなかったら悲しい…(号泣)
悲しすぎよ…(号泣)

自分で、こんなにも蚕に心奪われるなんて思いもしなかった。

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