職人文化人類学

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【100年の機屋タケツネに弟子入りします。】〜白の全貌が現れる針抜き 編〜

2019/10/25 職人文化人類学の実践 Writer:仕立屋と職人 イシイとワタナベ

witter:ワタナベ

徐々に輪奈ビロードの全貌が見えてきました。
今日のこの工程で白い美しい輪奈ビロードの全貌が明らかになります。

そして、なんと、寂しいことに弟子入りも終わりに近づいております。

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紋切りが終わると、針抜きという工程です。
輪奈(ループ)をつくりだしている芯材を抜いていくのです。

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まず、端切りといって芯材の片側の輪部分を切り落としていきます。
切るのも、芯材の端が綺麗に切り落とされていなければ、抜いているとき輪奈に引っかかって傷ができてしまいます。
「なんの気無しに切っているわけではないの。」とおっしゃっていました。

↓いつも素敵な振る舞いのタケツネ3代目の社長。
タケツネブランドを創り、輪奈ビロードを守り続けてきた方です。

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端切りが終わった反物の芯材を抜いていきます。針抜きの先輩は規与枝さんです。

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きちんと反物を左手で押さえ右手で目打ちを芯材に引っ掛けながら抜いていきます。
そして、抜いた芯材を上手に手に収めながら針抜きを進めていきます。
進めていくと、真っ白な輪奈ビロードが姿を現してきます。

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柄によって輪奈の量が変わるため、抜く力が変わってきます。
柄がみっちりと入っていて輪奈が多い生地は力を入れないと抜けないので、結構大変です。
さらに反物は一反11.5m〜13mです。その分の芯材を抜くのです。これは想像以上の力仕事です。

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力任せに抜いているわけではありません。
抜いている感覚を指先で感じながら、芯材が輪奈を傷付けていないか、綺麗に抜けているか、そうやって抜き進めていきます。
一定のスピードで、早すぎず、遅すぎず、布の面に対して平行に抜いていくのです。

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↑昔は輪奈をつくるのに、ステンレスや銅線の針金のようなものを使っていたそうです。
この一本一本入れ込みながら織り、織り上がったら一本一本抜いていたそうです。

すごく時間も手間もかかり技術も必要な輪奈ビロード。
現在は糸状の芯材を5代目社長が開発し、それを織り込みながら輪奈をつくっています。
しかし、工程の変化はあっても、輪奈ビロードを織り上げる手間と大変さは変わらないとお聞きしました。

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こうやって針抜きが終わった反物は検反といって、傷がないか、紋切りの切り忘れはないか、不備はないか、と何回も何回も反物を確認します。
これがとてもとても時間がかかる作業になります。
織られた反物、全て人の目で確認するのです!そして、糸一本の最後の調整をここで行います。

この工程がタケツネの品質を守る砦です。
このようにしてタケツネの輪奈ビロードは最高品質の生地をつくり続けてきたのです。

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この先に染色屋や縫製屋さんや問屋さんを通って、みなさまの手元の輪奈ビロードが届けられます。

その先の工程は以前記事にも書いたので、詳しく知りたい方はクリック!
【職人のリレー】 第七走者 株式会社タケツネ 武田規与枝(後編)

つ、つ、ついに次の記事で弟子入り記録集が最後となります。
終わってみると、あっという間の弟子入りでした。

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