職人文化人類学

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金髪女とヒゲロン毛が行く!〜仕立屋と二万頭の蚕達〜1日目

2018/6/1 職人文化人類学の実践 Writer:仕立屋と職人 イシイとワタナベ

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witer:ワタナベ
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※記事が進むにつれ大量の密集した蚕の写真が出てきます。
虫が苦手な方は気合いを入れてご覧ください。
あたし的には愛おしく可愛いので掲載させていただきます。
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遂に、蚕のところまで来てしまいました。
ここ大音は仕立屋の作業場から車で5分のところにある集落。

某賤ヶ岳の合戦の舞台にもなった場所です。

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大音にある伊香具神社は、
かの有名な空海が来て宝具の独鈷で水源を掘り当て、
その井戸によって大音の糸取りが始まったというくらい
歴史どっぷりディープな場所。

ちなみに、伊香具神社の主祭神 伊香津臣命は
日本最古の羽衣伝説の主役的存在の方です。
(本当テンションアガル!!)
ちなみにちなみに、伊香津臣命の息子達は
卑弥呼の遣魏使として魏に渡ったという記録があります。
(本当テンションアガル!!)

歴女歴男にはタマラナイ場所です。
(あたし、歴女ではありません。ここの歴史に詳しいだけです。)

ここでは今もなお、蚕を育て糸取りをしているという噂を聞きつけ
「行かないわけないじゃないっ!!!!!!」
ということで、金髪女とヒゲロン毛が行ってまいりました。

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案内していただいたのは
木之本町邦楽器原糸製造保存会会長
大音特殊生糸組合会長 の佃三恵子さん。

ここで糸取りをして四代目という佃さん。
今の時期と秋、年に二回桑の葉がなる時期に蚕を育てています。

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そうです。さりげなく登場し始めました。
あたしが指差している先にいるのが二万頭の蚕達。
木箱の中にチリメンジャコのように入っているアレです。
昨日、ここにやってきたばかりのホヤホヤ蚕です。

大音養蚕の里づくり協議会の皆様がお仕事の合間に
このように↓蚕達の世話をしに来ております。

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シミズサンはお昼ご飯用の桑の葉を摘んでいます。フレッシュ桑の葉です。
見ていると美味しそうに見えてくるものです。

シミズサンの邪魔をしにあたしも桑畑へ突入。
籾殻が敷いてあってフカフカして気持ちいい畑と
天気のいい青空と緑の深い賤ヶ岳に囲まれ、最高です。

(東京のネオン街大好き!とか言いながら、やっぱり自然は良いです。
空気は美味しいし、日差しはキラキラして綺麗だし、何よりご飯が旨いっ。
でもネオン街はネオン街で好きです。)

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朝昼晩、一日三回ご飯となる桑の葉を食べて蚕は成長していきます。

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早速、あたしもお手伝い。
「汚い葉っぱや虫喰ってる葉っぱはだめだよ」と。
あたし達人間が美味しくなさそうなのを食べたくないのと一緒らしい。
さらに、蚕は繊細だから新鮮な葉をあげたほうがいいとのこと。

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感覚的には
自分か蚕だったらどこの葉っぱが食べたいかな…
と、思いながら葉っぱをちぎる感じ。

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ちぎった桑の葉を食べやすいように細かく刻み
蚕の上を全面覆うように置きます。

(まるで料理のレシピを書いているようだ…)

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すると、新鮮な桑の葉を食べようと下から蚕達が這い上がって来ます。

今はまだ蚕が小さいからこの量の桑の葉をらしい。
成長するにつれ、枝ごと桑の葉を取り、トラックで運ぶほど
大量の桑の葉を食べるとのこと….早くモリモリ食べてる姿が見たい♡

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今、このサイズ。超小さいのです。
これが何週間か経つと人差し指くらいの大きさまで成長するらしい。

ちなみに周りにある黒い点々は蚕の糞です。
綺麗好きで繊細な蚕たちのためにこまめにお掃除は欠かせないとのこと。

佃さんは
「蚕は本当にすごい。
あんな綺麗な繭をつくるんだから。
人間はかなわないよ。」
と。

なぜ絹が高級品であり続けるのか
それを、蚕の成長記録とともにお届けしていきたい所存。

引き続き、この子達の観察を続けますので
皆様、成長をお楽しみに!

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