職人文化人類学

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金髪女とヒゲロン毛が行く!〜仕立屋と二万頭の蚕達の繭〜15日目

2018/6/28 職人文化人類学の実践 Writer:仕立屋と職人 イシイとワタナベ

witer:ワタナベ
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※今回は天に召された蚕の姿がチラチラと
垣間見える写真がございます。
虫が苦手な方は気合いを入れてご覧ください。
全てが綺麗な繭をつくれるわけではない、
という現実を知っていただきたく掲載させていただきます。
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遂にこの日がやってきてしまった…
そう!二万頭の蚕達の繭を採る!

(この時点で命を落とした子達もいるので
二万頭はいないと思われますが…)

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この緑色の四角い機械を使います。
その名も「まゆエース」!!!!

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どう使うかと言いますと…
蔟(まぶし)の一部屋ずつに入っている繭を
押し出していき、下に繭が落ちてくる、
といった仕組みになっています。

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そして、空室になった蔟をみんなで綺麗にしていきます。

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↓動きが早くて手元がブレていますが
犬猫の毛を綺麗にするようなブラシで
蔟についた糸をとっていくのです。
このブラシで取りきれなかったら、手で取ります。

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全てが綺麗に糸を吐いて繭として使えるわけでもないのです。

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繭をつくっている最中に命が絶える子達、
綺麗な繭をつくれなかった子達、
繭さえもつくれなかった子達もいます。

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その中から元気に生き残ることができて
繭をつくれたもの達だけが生糸になれるのです。

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採れた繭を重さを計ります。
まるで、ボクサーの計量。
または、「魔女の宅急○」のキキが
宅配物の重さを計っている姿を彷彿とさせる計量機です。

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おおおおおおおおお。感動。
真っ白で綺麗な繭が採れました。
中にはまだ蛹が生きています。
この中に手を入れると生暖かいのです。

この一ヶ月程、
蚕ハウスの中いっぱいに
蚕の存在を感じていたのですが
片付けてしまうと、こんなに広かったのと。

このハウスのように
蚕がいなくなってしまって
私の心もポッカリです。

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↓まだ繭をつくり途中の子たちもいます。
成長がゆっくりだった子達です。
この子達は後日、まゆエースに入ります。

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今回の繭の重さは去年より少し減ったそうです。

桑の量や、様々な要因の
ちょっとの違いだったりするとのこと。

相手は生き物です。
絶対の基準はありません。
その中で、天気を見て、蚕の様子を見て
みんなで力を合わせて蚕を育てているのです。

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こうやって養蚕の過程を見れるということは
今の時代なかなかありません。

今、これがここの地できていることのは
大音の方達がいるからです。
これを続けることは容易ではありません。
だけど、人の手じゃないとつくれないものがあります。

養蚕する人たちも減ってきています。
それはやったところでお金にならなかったり、
手間ばかりかかったり、
化学繊維が当たり前になっていたり、
日本以外の国で養蚕をしていたり…

ここまで密着取材を終わらすつもりはありません。
なぜ、人が手間暇かけて育てた繭が必要なのか、
なぜ、機械ではなく手で糸取りをするのか、
機械と手の何が違うのか、
そして、ここの繭達がどこへいくのか…

引き続き金髪女とヒゲロン毛が行くシリーズを
どうぞよろしくお願いいたします。

そして、協力してくださった
大音の皆々様!!!!!
本当にありがとうございました!!!
ラブユー!

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