職人文化人類学

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金髪女が行く!〜仕立屋と二万頭の蚕達とあたしの母性〜13日目

2018/6/20 職人文化人類学の実践 Writer:仕立屋と職人 イシイとワタナベ

※記事が進むにつれ拡大蚕集合蚕の写真が出てきます。
今回はトップ画像が既に蚕ですが…
虫が苦手な方は気合いを入れてご覧ください。
でも、こうやって絹ができているのか、
いう現実を是非とも見て欲しい!受け止めて!!
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なんと、なんと。
今日の朝行ったらもう繭ができていた!!
は、は、早すぎる。

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そして、糸を吐き始めている子を見つけました。
これも仕立屋のinstagramで動画見れます。
かなり神秘的だし、かなり貴重映像だ!!
と、大興奮がおさまりません。

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蚕の体が透けているのがわかりますか??

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この状態になるともう繭を作り始めるよ、という体になっているのです。

ちなみに黒い点の模様は気門といい、
ここから酸素を取り込んでいます。

なぜ、透明なのかというと体の中に液状の絹が溜まっているのです。
それを口から、あたし達の目には見えない
八の字を描きながら吐いていきます。
この八の字のおかげでがふっくらとした
絹を織り上あげることができるのです。

吐く糸の構造は人間ではつくり出せないミクロの世界の話なのです。
あたしの、手書きメモと共にお届けいたします。
汚い字は見ないでください。三角形の図を見てください。

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吐く糸の細さは0.02mm程度です。
0.02mmの中にまた三角の構造があって、
さらにその中に空気溝と細い糸が入っていて…
という、極細の糸の集合体というイメージです。

0.02mmほどってどんくらいなんだ⁉︎
とお思いでしょう。
あたしもよくわかりません。

yahoo!知恵袋に聞いてみました。
というか、もう聞いている方がいたので抜粋です。

太い毛で 0.1mm、細いもので0.06mm程度です。 約0.08mm前後が平均的な太さということになるでしょう。 一般的に“ネコっ毛”と呼ばれる細い毛は 0.06mm程度、太い毛といわれるのは0.1mm以上の太さの毛のことです。
(yahoo!知恵袋より)

確実に、超細い糸を吐きその中の構造が人間ではつくれない緻密な構造になっているよということです。

そして、この三角形という形が光を反射させ絹独特の光沢感を生むのです。

蚕達の持っているポテンシャル、半端ないっす。

繭をつくるために蔟 (まぶし)に移動してもらいます。
くっついて繭ができてしまったら糸が綺麗に取れませんからね。
その蔟を↓このように天井から吊るします。

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蔟 (まぶし)は回転します。
なぜ回転するのかというと、
蚕はみんな上へ上へ移動します。
そうしたら蔟の上部が重くなり下へ回転する。
そして、また蚕達は上へ登る。
その登る途中に自分の入居スペースを探します。

(この説明で伝わるのだろうか…
あたしもまだ見てないからみんなから聞いた話でしかないので自信がありません。)

ちょいちょい落下する蚕達もいます。

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蚕ハウスの中いっぱいに吊るしていきます。
みんな、汗をかきかき吊るします。
この中は暖房がついていて暑いです。
寒くなってしまうと蚕達は糸を吐くのをやめてしまいます。
やめてしまったら途中で糸が切れてしまいます。
だから暖房をつけて一定の温度にしておくのです。

みんなが一斉に蔟に登り始めわけではないので、
残りの子達は一箇所に集め、登るのを待ちます。

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こうやって繭をつくる場所を設置していくのです。

相手は生き物です。
予定通りに進むわけありません。
毎日の蚕の様子、成長の具合、天気を見て
今日はどうするかという風に進んでいきます。

みんなの力がなければ繭はつくれません。

成長して変化する蚕に喜びが溢れつつも、
繭の中に入ってしまったら蚕はもう見えないし、
そして糸取りまでのカウントダウンが始まっています。
嬉しさと切なさとあたしの母性が混乱しています。

帰りに大根をいただきました。
あざっす!

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