職人文化人類学

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金髪女が行く!〜仕立屋と二万頭の蚕達と悟り〜5日目6日目

2018/6/10 職人文化人類学の実践 Writer:仕立屋と職人 イシイとワタナベ

witer:ワタナベ

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※記事が進むにつれ拡大蚕の写真が出てきます。
虫が苦手な方は気合いを入れてご覧ください。
あたし的には愛おしく可愛いので掲載させていただきます。
といいますか、絹がこれなんだ!という現実を是非見てください。
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タイトル見て、
「今日の記事大丈夫かよ…」
「啓蒙活動みたいなこと始めようとしているのか…」
と、お思いでしょう。

まぁ間違ってはいません。

日々蚕達を見ていたら何千年も前から
葉っぱを食べて繭を作り続けている、それを想像したら
神秘的でたまりません。

仏教の禅では、こんな教えがあるそうです。
「同じことの繰り返しをつまらないと思うのは、自分の心が貧しいからだ」
と。
そう思うと、蚕は人生をものづくりにかける職人のようです。
桑を食べ続けた先に、美しい絹を生み出すのです。
そして、蚕の生命の恩恵をあたし達が授かっているのです。

宗教の話をしたいわけではありません。
蚕の生き様の話です。

さてさて、蚕達の様子です。

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上の写真は昨日6月9日の蚕です。
遂に!遂に!4cmを超えました。
日々の成長の喜びーーーー!!!

この日は違う桑畑に桑を取りに行きました。
トラックに載せるくらい大量に食べるお年頃です。

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まだまだこれからがもっともっと食べるようになるとのこと。
蚕達の近くによってだけで「ムシャムシャ」と
食べてる音が聞こえるのです。

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それが、なんと今日行ったら「眠」に入っていました。
下の写真は6月10日の写真。

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みんなが、頭をあげているのがわかりますでしょうか??
この形のまま「眠」に入っています。
ムシャムシャ桑を食べていた音が一切しないで
時間が止まったみたいな感じです。
みんなが一斉に寝ているのです。
ちょっと異様な感じもします。

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人間でいったら腹筋背筋が鍛えられそうな角度ですね。
そして、蚕の表面がまるでホワイトチョコレートで
コーティングされているみたいに見えて美味しそう。

もうちょっと体が短かったら完全にオームです。
風の○のナウ○カのオームです。
顔がそっくりです。というかほぼ同じです。
オームは黄色い触手みたいなのを出しますが、
この個達は美しい繭を出します。

そもそも「眠」とはなんなのか。
あたしの手書きのゆるキャラ蚕の図でご説明させていただきます。

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蚕は孵化した後、眠と脱皮を4回繰り返して成長していきます。
(この回数は蚕の品種によっても異なります。)
桑を食べて、寝て、起きて、脱皮をする。
これを繰り返します。

そして、脱皮が終わるごとに桑の葉を食べる量が
どんどん増えていきます。
4回目の眠を過ぎたら繭を吐く準備に入ります。

着物はどれくらいの繭が必要か知っていますか?

着物一着をつくるには繭が約3000個必要だそうです。
繭が3000個てことは蚕が3000頭必要ということです。
そのためには桑の葉が約100kg必要。

数字にしてみると驚愕です。
絹が高価な理由の一つでしょう。

絹製品は大量の蚕達の命のおかげで出来上がっています。
絹の性質はとてもいいものです。
(絹の性質についての詳細記事、今度書きます。)
だから、大事に扱えば、長く着れます。

みなさんが着ている洋服の製品表示のタグを見てみてください。
絹のものはありますか?
もし、絹の洋服を持っていたら想像してみてください。
「この洋服には何頭の蚕が頑張ってくれたのだろう」と。

そうしたら洋服をもっともっと大事に、
そして、もっともっと長く着る気持ちになってもらえたら嬉しいです。

早く、脱皮がみたいなー♡

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