シャナリシャツ創世記 #2 ~macbookを捨てよ町へ出よう~
前回は「なぜシャツをつくるという選択になったのか」という話でした。
今回は、新規事業としてシャツブランドを立ち上げる決まれば話は早い!macbookとiPadは引き出しの奥底にしまってサッサとプロトタイプをつくるぞ!!という話。
これまではどこにも発表しない企画書ばかりつくったり、見えなりリスクに足がすくんでいた日々でしたが、そんな毎日とはもうおさらばです。これからは目の前に敵が現れたら戦うだけです。
さぁつくってみよう!
検証と考察
まずはシャツをつくるのに着物が必要です。なんとありがたいことに、共同代表の母上殿が着物を提供してくれました。
ありがとうございます!(超順調)
プロトタイプをつくって検証することは、
①着物でシャツをつくって本当に可愛いの?私着たいと思う?
②着物を普段着として着て、家で扱えるの?クリーニングは面倒だ!
③どうしたら着物を無駄なく使えるの?ゴミを生み出すのはナンセンス!
ということです。
着物でシャツをつくって本当に可愛いの?
可愛くできました(私基準)。着物一着丸々使って洋服をつくると着物感が溢れ出てしまい、自分では着にくいな…と思っていたので、着物数着を組み合わせ生地をデザインしてシャツをつくりました。結果、着物感・和柄感が薄らぎ、カジュアル度が増しました。これなら、私着れます。
第一に考えたのは、着物を着ない人が着たいと思ってもらえること。
着物がお好きな方は、着物そのままを楽しんでいただくのが一番!でも私のように着物に特に関心を抱いてなかった人に手に取ってもらえるか、そこに注力しました。
(写真△ プロトタイプを着る弊社共同代表の石井です。許可なく勝手にこの写真を載せました。私たちの行く先が明るいのか眩しそうですね。)
着物を普段着として着て、家で扱えるの?
着物を持っている方は扱いの手間などご存知なので一番心配されるところです。これがクリアできないとカジュアルなシーンで着用することができません。
シャツをつくり、中性洗剤で手洗い・陰干しを数度繰り返し問題ないことを確認しました。この検査をしてくれる機関にも依頼し、その検査もオッケー!
浜縮緬工業協同組合の方々と生地の堅牢度試験等をしたことがあったので、どの程度の摩擦に弱いか、どういう状況が生地に良くないかという知識がありました。そのため生地の扱いに関してはバッチリです。
シャツにする前には全て着物を分解し、じゃぶじゃぶ洗って縮ませてから生地をつくります。そのためシャツ縫製後、家で洗ってもそれ以上縮みません。
※シャツの取り扱いは中性洗剤使用で手洗い、優しく脱水、陰干しをお願いしております。
(写真△ 着物を分解し、洗ってから新しく生地をつくっているところです。着物の組み合わせ、柄の配置、縞々幅のバランスなど、ここが一番の肝!)
どうしたら着物を無駄なく使えるの?
着物にシミや穴あきはだいたいあります。しかしそれがあるのは裾部分、襟元、袖部分など一部分です。それ以外の綺麗な生地の部分を取り、使うことにしました。
着物としてまた着ようと思うと生地の痛みは気になりますが、使える部分だけを使い縫い合わせればなんの問題もなくシャツの生地としてつかうことができます。前職の古着で犬服をつくっていた経験がここで生きてきます。
また、シャツに使う分だけ生地をつくれば、無駄なく素材を活用できます!
そして、シャツの形は、できるだけカーブをなくしハギレが少なくなるような形にしました。
検証結果
以上のことを踏まえ、検証結果は全て問題ありません。ブラボー。順調過ぎてこわいです。
引きこもりの私は人と会う機会が少ないので、アクティブな共同代表にプロトタイプを着てもらい、周りの人の反応を見てもらいました。
町の定食屋のお母さんに「着物のシャツなの?素敵ね。」とすぐ反応があり、もぅウヒョウヒョです。あの暗黒期が嘘のようなスピード感。自分たちでもいい感触を実感していたので、チャッチャッと次の段階に進みます。
シャツができたのだから早速売ってみよう!ということでイベント出店の予定を立てました。
ここからが物売りの大変なところですよね。次回は、やはり売るって難しい、「じゃあ順番を変えてみては?」という神からのアドバイスをゲットする話です。
\\ワタナベのちょっと小言//
シャナリシャツを始めるまで滋賀にいる理由が感じられませんでした。そんなネガティブ思考なのは弊社暗黒だったからです。やっと今すべきことが見えてきて、移住した意味を感じることができています。この時は移住して7年目。関越トンネルより長い暗黒期。心が折れるのが先か、資金が尽きるのが先か…長いトンネルを抜けるとそこは雪国でした。そうです、まだ暴風雪警報中です。手放しで喜べるところにはまだ辿り着いてはいません。春はまだ遠い。ハラハラヒリヒリしますね。