職人文化人類学

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シャナリシャツ創世記 #0 ~私はペルソナに会えなかった~

2024/5/9 シャナリシャツ Writer:仕立屋と職人 イシイとワタナベ

みなさまこんにちは、わたくし株式会社仕立屋と職人のワタナベです。
去年2023年からタンスに眠っている着物を普段着として着れるように仕立て直すシャナリシャツ というシャツブランドを始めました。

このブランドを立ち上げるにあたって私が遭遇したアレヤコレヤを記録として残しておきたいと思います。起業したい!とか、新規事業を考えている!とか、そんな方々の役に立つかは微妙なところです。なぜなら私の説明は結構雑なので、参考になるほどの話にはならない予感。ただどうやって試しているかとかは参考程度になるかも…?

ということで、今回はシャナリシャツ立ち上げに至るまでのお話です。

 

新規事業の成功率は「千三つ」

まずはペルソナについて。

ビジネスにおけるペルソナとは、主にマーケティング領域で用いられる用語で、商品やサービスを提供する際、主にどのような顧客に向けたものであるか、その具体的な人物像を設定することです。性別や年齢層だけでなく、生い立ちや学歴、職歴、年収、ライフスタイル、家族構成、趣味嗜好、特技、価値観など、あらゆる属性を検討していきます。実際にそのような人がいるとイメージできるような具体的な人物像を設定します。
引用:CANVAS マイナビAGENT

「その商品、そのサービスは誰が欲しいの?」と、新しく事業を組み立てていく時に設定するのがペルソナです。
「その人物の生活スタイルから考えると、きっと欲しいサービスはコレ!こんなオプションもあるときっとさらに喜んでもらえる!」というように考えていきます。
(雑な説明のためマーケティングのプロの方々からのご指摘があるのは重々承知ですが、ご指導ご鞭撻のお言葉は受け付けませんっm_ _m)

弊社、株式会社仕立屋と職人を立ち上げた時(2020年ごろから)、経営の柱となる事業を創出すべく戦っておりました。新規事業開発をする際に行うワークは一通りやり、これまで様々な事業案を考えました。その度にターゲットになりそうな人にヒアリングをし、ペルソナを設定し、ウンタラカンタラ…ということを繰り返していました。

結果から申し上げますと、どの事業案も途中で樹海に迷い込み、前には進みませんでした。
今ではもう必死にやったワークの名前さえ思い出せません。寝ずに考えたあんな案こんな案、たくさん作成した企画書たち。何案分の企画書をつくったかは、もう定かではありません…それらは浮かばれずdropboxのフォルダ内で地縛霊となっていることでしょう。

新規事業は1000案出して3ついい案があるかないか…それくらい高き壁であり、その壁を越えられる人が少ないと聞きました。

そんなことを聞いた私は「千本ノックをしたところで、いい案が出てくるとは限らないということか…?これって終わりがあるのか…?むしろ終わらないと始まらないじゃん!」と新規事業のワークに対して疑心暗鬼。打っても当たりを感じない事業案に心はボッキボキに折れて養生テープでもくっつきそうにありませんでした。

まずはワークとかセオリーとかハウツーとか横に置く。

新規事業がうまくいかなかった理由は簡単です、「それって本当に欲しい人いるの?」「それは私たちじゃなきゃできないことなの?」という壁を越えられなかっとからです。

ペルソナを作ってみたけれども、本当にそんな人は実在するのか、という考えに対して、「絶対にいる!だから、これはイケル!」と最後まで思えませんでした。いるかわからない人に対して、何をつくっていけばいいのかわかりません。

新規事業案を考えるのを2〜3年やったのかな…?もうここら辺の記憶は曖昧です。弊社暗黒期で忘れたい過去のため思い出したくもない気もします。

しかーし!会社を設立しまったため、もう後戻りはできません。弊社の共同代表とも話し、
「ここ数年考えるだけしかできず、実装できなかった。今のやり方は私たちには合っていない!違うやり方を考えよう!」
ということに至ったのです。

その際に掲げたのが以下の4つ!

その次に自分に合ったやり方を整理する。

①自分たちは実際にモノをつくることが出来るから、少しづつ試しながらやっていこう!

しっかりと企画を考えれば考えるほど机上の空論感が増し、漠然としたリスクばかりが目につくようになるので、とりあえず深く考える前にやる!今こそ美大出身のパワーを見せる時です。最終アウトプット物が自分でつくれるからこそ小さく試して、半歩ずつでも前に進むことにしました。「見えない大きなインパクト」より「目の前の確実なヨロコビ」です。

スキルやこれまでの経験から、自分たちだからつくる意味があるものをやっていこう!

これは自分への納得感と、自営業だからこそできる冒険であり、最大の面白味なのかもしれません。滋賀という縁もゆかりもなかったところへ移住したことや、これまでの出会いや経験全てひっくるめて「〜〜〜だからこれをやっています。」と言えることを探していくことにしました。

誰よりも自分たちが楽しいこと、面白いと思えることをやっていこう!

私にとって一番これが大事です!自分たちが楽しくなければ、関わった他の人だって楽しくはない。だから私が一番楽しい状況をつくりだす。そうしたら自ずと人が集まってくる、と信じています。

以上のことを踏まえ、イケテル面白い仲間たちを増やしていこう

これは弊社暗黒期の反省も踏まえて…自分たちだけでできる範囲なんてたかが知れています。他の道のプロフェッショナルたちが集まれば見れない景色を見ることができるはず。でもただ人が集まればいいわけではありません。重要なのはバイブス(言葉にならない部分)が共鳴できるかということです。

後半2つはニュアンスだしバイブスとか言っているし伝えきれているかわかりませんが、言葉にならないものを大切にすることは「つくる人間」にとっては空気くらい重要なものなのです。時によっては言語化し過ぎないことも必要です。

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それが2022年秋の話。2022年夏の終わりに出産を終えたばかりの私は、乳飲み子を横に寝かせ私が楽しくてやりたいことを考えました。思い返すと意識朦朧とした中で考えていたような…

それが「ハッピーシタテヤショップ(仮)構想」でした。ネーミングが最高にダサくてセンスのかけらもありません。絶望的です。こんなダサダサネームがシャナリシャツの始まりになったのです。

次回は 〜好きこそものの仕事にせよ!

今回はなぜ自社ブランドを立ち上げることになったのかという回でした。様々な方法を試してみたけれどペルソナさんに私は会えず、自分自身をペルソナにすることにして次の一歩を進むというお話し。

さてさて次の#1では、好きこそものの仕事にせよ!〜なぜシャツ屋という選択をしたのか〜、という話をしたいと思います。

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