職人文化人類学

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幽遊白書の桑原しか知らなかった!「桑原」の真実

2018/2/10 職人文化人類学の実践 Writer:仕立屋と職人 イシイとワタナベ

witer:ワタナベ

今日はどんな洋服を着ていますか?

わたしは雪国中なので、
化学繊維のあったかインナー着て
綿のTシャツ着て、ウールのカーディガンに
薄手のダウンを羽織り、ストーブの前を陣取り
近づきすぎてダウンが溶けているという
引きこもりファッション。

伝統工芸や日本のイケてるものを
フューチャーする活動をしているのに
「着ているのは化繊なのか」と
空から降ってくるツッコミは
時代の需要と供給だ!と自分を納得させつつ…

時代は日々一刻変容し
そのスピードは日に日に増し
携帯電話でポチッすれば欲しいものがすぐに手に入り
時間をかけなくても色んなことを容易に出来るそんな時代。
まぁそれが良いのか悪いのか…

という前置きから、
今日は手間をかけてかけてつくられてきた
絹がどうやって出来ているのかの、
そんな導入部分のお話を。

しかも、あたしの手書きのメモと共に
(あ、あたしの字の下手さはご愛嬌)

まず、
絹は蚕が吐いた糸で出来ています。
「脱皮」と「眠」を繰り返した後、
糸を吐いて繭をつくる。

そして、繭をほぐして一本の糸にして
それを束にして生糸をつくる。

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この繭をつくるために蚕は桑の葉っぱを
ムシャムシャ食べて食べて食べまくる。

昔なら桑畑を見たことがある方もいるかと…
最近で桑畑を見ましたか??

いやいや桑…?
幽遊白書に出てくる桑原しか知らない!
というあたしはリアル桑畑は見たことない..。

桑畑の地図記号も廃止されたとか。
それくらい桑を育てているおうちも無ければ
同じくらい蚕を育てているおうちも無くなった。

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蚕を育てるのはとても大変らしい。
とても神経質ですぐ病気になってしまったり
他の動物に食べられてしましまったり。

で、現在日本で作られる繭の量は世界に比べるととってもわずか。
本当にちょっと。

なので日本の絹織物の多くは
他の国から生糸を輸入しているところが多いようです。

日本で蚕は一大産業だった時代は
もう大昔のことになってしまっているのか。

と、思っていた。

そしたらなんとなんと。
こんな記事を見つけました。

wwdの記事より▶
https://www.wwdjapan.com/508166

熊本県山鹿市にクリーンルーム内で大量のカイコを飼育する
世界初の大規模養蚕工場の稼働を開始と。

さらには、
(ちょいと昔ですが)

TED Talksという動画でも、
https://www.ted.com/talks/fiorenzo_omenetto_silk_the_ancient_material_of_the_future?language=ja#t-561668
絹の可能性を。
(ここでは、絹の成分がタンパク質であり
どんな形も形成でき、それは全て自然に還るというお話。
ざっくりまとめているので、是非動画を見てほしい。)

さらには糸を生成させる昆虫として
蜘蛛の糸を研究している会社が日本やアメリカなど
とても注目を浴びている分野のようだ。
https://www.wwdjapan.com/520770

石油を原料として作られる材料の時代だった次を行くのは
蛋白質という自然の中に存在し
自然に還るこの物質に世界の目が向いている。

「ゲノム」なんて言葉は
あたしには一切関係のない言葉なのかと思っていたら
リサーチを始めてから出会う出会うゲノムという言葉。

(上手にゲノムを説明できないので
「ゲノムとは」とgoogle先生に聞いてみてください。)

歴史を掘れば
古事記や日本書紀、邪馬台国など
遠すぎて想像も出来ない昔から蚕や絹の話が出てきて
今でも時代の最先端を走るこの存在。

過去を語り
現在を共に生き
未来を創造させる
この存在はまだまだ未知の力を持っているのだろう。

この未知な可能性を人間が操作することが良いことなのか
それは今のあたしに全然わからないが

ただ、これだけの長ーい長い年月
存在し続ける絹という存在は
時代と共に時代に合う形に変換され
人間が求めているものと合致しているから
今でも残り続けているのだろう。

これからもまだまだ変容する絹、
そして蚕という
自然が生み出したエネルギーが
未来を騒がすことは間違いないのだろう。

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