魅せる作業着 | ||
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社名 | デコ屋敷本家大黒屋 | |
エリア | 福島県 | |
創業 | 300年ほど前 | |
住所 | 福島県郡山市西田町高柴舘野163 | |
WEBサイト | https://dekoyashiki-daikokuya.co.jp/ | |
背景 | デコ屋敷とは、郡山駅から車で20分ほど里山に走らせたところにある張り子づくりの集落である。今では4軒がダルマやテングの面など、張り子人形を制作している。 大黒屋はその中でも300年以上続く老舗の工房。現在は21代・橋本彰一氏を筆頭に数人の職人が働いている。 |
CREDIT
衣装デザイン|ワタナベユカリ
グラフィックデザイン|石井挙之
刺繍デザイン|山崎亜有美
写真撮影|Yamato Shiraiwa、古澤恵太
生地|HARAPPA
「自分は張り子職人だ」と気分をアゲる作業着
「自分は張り子職人だ。」という自覚が持てる作業着が欲しい。
張り子づくりの作業と、人前に立ち張り子について語る両方のシーンがある、デコ屋敷大黒屋21代当主の橋本彰一氏から相談がありました。
職人自身も「そのモノの価値を高めるため」にドレスアップすべきだと対話を重ね、袖を通すことで気分を上げる作業着の制作がはじまりました。
まずは張り子づくりの作業、環境を理解する必要があるため、石井・ワタナベがそれぞれ3ヶ月ほど張り子づくりに従事しました。そこから見えてきた、形、素材、デザインの意味合いを落とし込んでいきます。
「作業着の中に何か張り子の説明ができる仕掛けが欲しい。」21代橋本彰一氏からお題をいただき、張り子をつくる工程で和紙のボタンを実験を繰り返しながら制作し、作業着に採用しました。これは後に「身につける張り子・harico jewelry」として展開されることになります。
人前に出る時にはハレの衣装として白色の作業着で、作業をする時にはケの衣装として茶色の作業着で過ごせるようにリバーシブル仕様の作業着が仕上がりました。
作業はしやすく、格好はよく。
素材は同じ福島県でつくられている会津木綿を使用しました。福島県といえば極寒の地というイメージがありますが、張り子は紙を乾かして作るため、冬でも室内はストーブで煌々としています。防寒着すぎるとかえって暑すぎるため、透湿性、保温性に優れた生地を選択しました。また、背中には大黒屋独自の柄をあしらったタスキをかけており、その箇所が折り返しとなっています。
大黒屋の職人たちは前掛けをして作業をしています。前掛けはヒザの上で刃を入れたり、絵付けをする言わば「職人の机」として機能しています。この魅せる作業着の前掛けは部分的に厚くなっており、あぐらをかいてもヒザに引っかかることなく捲し上げられ膝が露出しない絶妙な長さになっています。大黒屋ロゴマークは歴史が古く、誰が作ったのか不明で、データもない状態でした。そこからデータ化し、手直しをして手刺繍にしました。